|
1.薬膳の考え方
●はじめに
体によい食物と言っても、男と女、お年寄と子供、また自分と他人との場合で違います。
「体に合わせて食べる」これが薬膳の基本です。当院ではこの考え方を基に、その季節に
とれる旬の食材をふんだんに使い献立に盛り込んでいます。
アトピーには、これがいいとか悪いとかとお話する前に、自分の免疫力を高める事が大切です。
いただいたコーナーを通して、食に関する情報をお知らせし、少しでも皆様のお役に立ち、健康を維持
できるより所となれば幸いです。
(創刊号:1996.3.1)
●食をいただく
あまりにも身近にあると、それがどんなに素晴らしい恩恵を与えてくれるものであっても、
ついありがたみを忘れます。特に豊かな食生活に慣れきってしまった文明人は、食物に
感謝する心がなくなっております。
包丁のない生活、まな板のない家庭、コンビニでお弁当を買う回数のグラフの山を高くする
ばかり。なのに一方では健康を求める声は高まるばかりで、雑誌でもとりあげております。
全ての物を興味深く味わうのが、食べ物への敬意と感謝を表す行為です。それは、人間の
体が多種多様の食材料で作られ、支えられているのに他ならないからです。旬の味を大
切に、最大限に活用し、食物の食功を利用すること。これが薬膳の考えなのです。
(第8号:1996.11.19)
●食べ合わせの知恵
食物を三度の食事で毎日摂っているわけですが、それがあまりに身近になりすぎて、無意
識になっています。病気は薬だけで治るものではなく、食事と薬、両方摂ることで快方に
向かいます。
この食物の持つ力も二品、三品と組み合わせることにより、強力な力となるのです。つまり、
お互いの力をプラスし合うことで、体に良い効果を発揮する相乗効果が得られるのです。た
とえばステーキにニンニクは、スコルジンの働きで肉の脂肪が分解しやすくなり、ほうれん
草に花かつおは、カルシウムがほうれん草のアクを流してくれます。また、なめこと豆腐の
味噌汁では、なめこのムチンが豆腐のたんぱく質の吸収を高めます。このように、食べ合わ
せによって害をなくしたり、効果を発揮したりする、食べ方の知恵があることがわかります。
(第18号:1997.9.23)
●ほどほどに食べる
栄養の細かい話は抜きにして、健康になるための食べ方の秘訣は「食べ過ぎを避ける」こ
とです。塩分もコレステロールも、摂り過ぎなければ特に問題は生じないわけですし、カロ
リーオーバーによる肥満の恐怖からも逃れることができます。
世の中で珍味、おいしいとされている食品(鮨ネタのウニ・トロ、クリームたっぷりのケーキ
など)が好物の人は、ほどほどに食べることを心がけて、食べる喜びと健康の両方を手に入
れる努力をしましょう。健康には粗食が一番、などというのは、生きる上での楽しみとしての
食生活という大切な視点を欠いた考え方です。
(第21号:1998.2.7)
2.食材について
●玄米
玄米は白米と比べ、脂肪、ビタミン、ミネラル類を数倍多く含み、バランスのとれた「完全食」
と言えます。これは胚芽と外層部にある多彩な成分のためです。
玄米は白米より、消化吸収が悪いと言われますが、よくかんで食べれば唾液の分泌が高
まり、消化や胃腸の具合も良くなり、自然に血液もきれいになりますから、結果的に脳の
働きも高められます。副食は、玄米の栄養バランスを崩さぬよう、主食より少なめに体質や
季節、環境条件に応じて摂取しましょう。
(第2号:1996.4.6)
●ごま
ごまには白・黒があり、色の違いばかりでなく作用にも違いがあります。白ごまは肺の働
きを活発にするので、呼吸器が弱い人向きです。黒ごまは腎臓の働きが悪い人に効果的
で、セサモールという抗酸化の役目をするものも入っています。
ごまは体力のない人の腸の働きを助け、便秘がちの人には便通を整え、血行を良くします。
小粒で香ばしく、おにぎり、赤飯、ごま和えと味と香りで食欲を増します。「ごま化す」という
言葉もあるように、料理の下手な人でも、ごまを使うとカバーできそうです。当院では玄米
飯とトースト(ごまペースト)に使用しています。
(第4号:1996.7.1)
●薬膳茶
一服のお茶の味わい、そのさわやかさ。お茶を飲む習慣は、中国から伝えられたもので、
わが国では足利時代からさかんになり、その頃から茶道もおこり始めています。お茶には、
さまざまな薬効があり、体質改善にも効果的と言われています。
当院では、はと麦・しその葉・ほうじ茶をブレンドして提供しております。はと麦は、よく苡仁
を炒ってから煮て、乾燥させたものです。利尿作用があり、皮膚のトラブルをおこす水毒とか
邪毒とか言われるものを、体内にたまった水分とともに排出してくれます。また新陳代謝を
活発にして胃腸も快調になり、下痢や便秘も解消されます。除痺作用呼ばれている、痛
みを解消して「気の巡り」を良くする作用もあります。一方、しその葉は鎮静作用があり、気
分を落ち着かせ、血液浄化作用もあります、毎日、飲用したいお茶です。
(第11号:1997.2.3)
●スパイス
調味料で薬にもなるスパイスは、各国で数千類を超え、個々に異なる特性や機能をもって
います。一口にスパイスと言っても、全体像はなかなか複雑で、大きく分けると葉の部分、
種子の部分、葉の部分、樹皮の部分を使うものに分けられます。たとえばナツメッグは種
子、コショウは果実、釘の形のクローブは花のつぼみ、シナモンは木の皮、生姜は根です。
外国ではミントやフェンネル、ローズマリー、タイム、バジルなどの葉や茎を料理や薬に使っ
ています。日本ではゲンノショウコ、熊笹、ドクダミなどが薬草、香草として利用されており、
防腐力、抗酸化力、殺菌力とともに浄化作用も備わっている、役に立つ香り高いスパイス
です。暮らしに自然を取り入れたい、そんな気持で庭先からハーブを摘んで料理を楽しめ
たら素敵ですね。
(第14号:1997.5.1)
●酢
これからの季節、気温が高くなるに従って食中毒が多くなります。食中毒の予防は、(1)菌
をつけない、(2)菌を増やさない、(3)殺菌をすること、です。新鮮な材料を選び、低温で保管
し、調理方法にも気を配ることです。
酢を上手に取り入れることも、良しとされています。酢は英語でビネガーと言われますが、
その語源は「すっぱい」「ヒリヒリする」という意味です。果物や穀物から酒を作り、さらにアル
コール分を酸化して作ります。酢は多くの利用方法がありますが、重要な役割をしぼってみ
ると、まず消化液の分泌を促進し、食欲を増進します。調味料の中で最も殺菌力、防腐力
が強く、食品の保存期間を延長します。味にメリハリをつけ、減塩効果もあります。
従って、食酢は健全な食生活を行うための必須の調味料です。今や世間を騒がせているO
-157対策にも、一役も二役もかってくれる頼もしい味方です。
(第16号:1997.7.1)
●油
毎日摂取する油は、私達の健康に重大な影響を与えています。つい最近まで、油は動物
性、植物性の二種類で説明されてきました。しかし現在では脂肪酸の違い、つまり体内で
の作用の違いにより、三つに分類されております。その中で、脳や神経の働きに関係する
第三の油、α-リノレン酸は魚、藻類、野菜に多く含まれ、注目を浴びています。
体によいとされていた、リノール酸も摂り過ぎによって、逆に心臓病や癌の原因になったり、
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギーを引き起こすことも分かっています。
体を油漬けにせず、質の良い油(オリーブ油、菜種油、ごま油、しそ油など)をほどよく摂る
こと、これも体を酸化から守る一つの方法なのです。
(第23号:1998.4.20)
3.調理レシピ
●星の丘ハヤシライス
■作り方(4人分)
1)鶏ガラ一羽分、くず野菜(玉ねぎ、セロリ、キャベツ、ローリエ、人参)など100gほどを水
10カップで煮立たせ、あくをすくい半量になるまで煮つめる。
2)鶏もも肉200g、玉ねぎ200g、人参100g、じゃが芋160gを用意し、食べやすい大きさ
に切る。
3)フライパンを熱し、小麦全粒粉大さじ5を弱火で茶褐色になるまで炒める。
4)油小さじ1を入れ、玉ねぎを入れてあめ色に炒める。残りの野菜を入れて軽く炒め、鶏
ガラスープを加え柔らかく煮こむ。
5)3)の空炒りした小麦全粒粉に豆乳1カップと残りのスープを加え、鍋に入れて5分程煮
こむ。
6)ケチャップソース、ワイン、塩と好みで味をととのえ、玄米飯にかけてできあがり。
(第6号:1996.9.2)
●薬滋カレー
皆さん、毎食きちんと食べていますか? アトピーを快方に向かわせる方法の一つは、免疫
力を高める食事をすることです。
食べたものが全て血や肉になったのは、伝統的な食事をと
った時代のことで、現在の食事はそれほど単純ではなくなっています。ある栄養素が過剰
に摂取されたため、体から奪い去られていく栄養素もあり、調理法によって栄養素が毒化し
てしまう場合もあります。便利なもの、おいしいもの、見栄えの良いものばかり追求する前
に、本当に体に効く食べ物を知り、食べ方を身につけることが自然治癒力、回復力を高める
ことになるのです。
当院のオリジナルメニューから、今回は「薬滋カレー」をご紹介します。
■材料(4人分):鶏もも肉160g、玉ねぎ2個、人参1本、じゃが芋2個、ニンニク小1かけ、
根生姜みじん切り、鶏がらブイヨン3カップ、完全粉(無漂白小麦粉)100g、豆乳、
他に油、調味料、ワイン、スパイス。
■作り方
1)カレールーを作る
フライパンにキャノーラ油大さじ2を熱し、完全粉を入れ弱火で10〜15分くらい色づかないよ
うに、木じゃくしで炒める。豆乳を少しずつ加えながらよく混ぜ合わせ、トロリとなるまでかき
まぜる(ホワイトソース)。
ホワイトソースにターメリック、ガラムマサラ、カレーパウダーを加え、よく合わせカレールーと
する。
2)鶏もも肉、玉ねぎ、人参、じゃが芋はカレー用に切っておく。
3)厚手の鍋にキャノーラ油大さじ1を熱し、ニンニクと根生姜を炒め、鶏もも肉を軽く焦げ目
がつくように炒め、玉ねぎも加えてよく炒める。ブイヨンを加え、人参、じゃが芋を入れ、ロー
リエ一枚をのせグツグツ煮る。
4)カレールーを加え、ワイン、ケチャップ、ウスターソース、塩、砂糖で調味し、カレーソース
とします。
5)玄米雑穀(あわ・ひえ・アマランサス・大麦)ライスを皿に盛り、カレーソースをかけます。
(第26号:1998.10.19)
●サンマの蒲焼き
昔からの日本人の味の習慣で、その季節になると「無性に食べたくなるもの」がいくつかあ
ります。それが秋の場合は脂のたっぷりのったサンマで、塩焼きにして大根おろしを添えて、
レモン汁を絞って、炊きたてのご飯と食べる味は格別です。
この回遊魚、水温によって秋の気配を感じると、産卵のために北海道から三陸、関東へと
南下していくと言われています。記憶力、集中力、免疫力の向上に注目されるDHA(ドコサ
ヘキエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)もたくさん含まれています。
さて、そんな素晴らしいサンマを使って、簡単にできるメニュー、「サンマの蒲焼き」を作って
みてはいかがでしょうか。
「サンマの蒲焼き」(4人分)
■材料:サンマ4尾、たれ(醤油大さじ2、みりん大さじ1、三温糖大さじ1、酒大さじ1)、根
生姜、みょうが
■作り方
1)サンマは三枚におろし、塩・コショウをして全体に完全粉をつけ、余分な粉はたたきの
ぞき、油(キャノーラ油)で揚げます。
2)たれの材料を鍋に入れ、ひと煮たちさせ、1)のサンマにからめます。
3)根生姜を針のように細かく千切りにし、みょうがもきざみサンマの蒲焼きに添えます。
(第26号:1998.10.19)
●冬に備えてキノコ
海からはサンマやサケがやってきました。里では新米が取れ、山にはキノコ、クリ、果物、す
べて自然の恵みです。冬を目の前にしたこの季節、自然治癒力や病気に対する抵抗力、あ
るいは長生きに役立つ食べ物がたくさん出回ります。
その一つがキノコ。キノコはカロリーがほとんどありませんから、太る心配はないし、最近で
はキノコに含まれる抗がん物質、老化や生活習慣病を予防する成分が次々と発見されてい
ます。特にキノコに共通している成分、ベーターグルカンと呼ばれる繊維は、その働きが強
いとされています。
その他、イライラを防ぎ頭の働きを向上させるビタミンB1、カルシウムの吸収を高めるビタミ
ンDがたいがいのキノコに含まれています。そんなキノコパワーをいただく、簡単レシピをご
紹介します。
生シイタケとレーズンのソテー
■材料:生シイタケ8枚、ニンニクすりおろし少々、レーズン大さじ2
■作り方
1)生シイタケはいしづきを取り、4つに切ります。
2)レーズンは洗い、ぬるま湯で戻して軽く水気を切ります。
3)フライパンにキャノーラ油大さじ1を熱し、ニンニクを加えて香りづけします。生シイタケと
レーズンを炒めて塩・コショウし、温かいうちにお召し上がり下さい。
(第27号:1998.11.16)
●ほかほかの鍋をどうぞ
寒さが身にしむ頃になると、ホカホカ、グツグツ湯気の立てている鍋物が恋しくなります。
一つ鍋を囲んで食べるなごやかな雰囲気は楽しく、心も体も温まります。海外にも什錦大
鍋子、フォンデュなどの鍋料理もありますが、鱈ちり、カキ鍋、つみれ鍋、寄せ鍋、水炊き、
鮭の粕鍋など、日本ほど種類の多い国はありません。
魚、肉、野菜、キノコ、海草と手当たり次第に入れ、「フウフウ」言いながら、ポン酢だし醤油
にもみじおろしを添えていただく。自然に陰陽バランスのとれる素晴らしいメニューです。
星の丘クリニックでは鍋物にみたてて、「寄せ鍋風煮込み」として食べていただいています。
寄せ鍋風煮込み(4人分)
■材料;鱈の切り身(60g×4切れ)、豆腐1丁、生シイタケ4枚、糸こんにゃく1玉、
ホタテ4個、白菜200g、ねぎ1本、春菊120g
鍋地:だし汁5カップ、薄口醤油小さじ2、塩小さじ1、酒・みりん少々、根生姜の汁大さじ1
ポン酢:レモン汁大さじ2、醤油大さじ2、だし汁1/2カップ
■作り方
1)白菜はそぎ切り、春菊は3センチくらいに切り、ねぎは斜め3センチくらいに切り、糸こん
にゃくも野菜に合わせて切りそろえておく。
2)生シイタケは石づきを取り、十文字に切れ目を入れておく。
3)豆腐は8等分にしておく。
4)鮭の切り身は骨を取り除き、ホタテもよく洗って水気を切っておく。
5)鍋地の材料を鍋に入れて火にかけ、煮立ったら次々に材料を煮込みます。
(第28号:1998.12.14)
|