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川屋 (アトピー・ビジネス)

アトピー・ビジネスに気をつけましょう。
もうかるとええなあ

1.アトピー・ビジネスとは
2.秘薬にご注意
3.アトピー・ビジネス情報


1.アトピー・ビジネスとは

「アトピー・ビジネス」とは、アトピー性皮膚炎を対象にした商売です。「〜をすれば、アトピー が治る」、「アトピーには〜が効果的」などのうたい文句で、商品を売ろうとするのです。その 種類たるや、すさまじいものがあります。

a.「アレルゲン除去」や、「無農薬栽培」などの食品・調味料
b.健康食品やサプリメントの類
c.ローション、クリームなどの類
d.低刺激性をうたった化粧品、石けんなど
e.皮膚を刺激しない衣服
f.薬効成分が入ったり、カルキを抜く入浴剤
g.ダニ防止をうたった寝具など
h.アトピーを対象にした、エステティックや整体など
i.「アトピーに効く」温泉や、温泉の宅配
j.浄水機、酸性水製造機、治療機器
k.「アトピーを予防する」建材、家など
l.アトピーを対象にした書籍の一部、雑誌類

衣食住の全てに「アトピー対策」の物が出まわっているし、「民間療法」も百花繚乱です。ク リニックに入院した患者さんどうしが、アトピーの雑誌をめくりながら
「あ、これは効かなかった」
「うん、そうだね、私もやったけど」
などと話しているのを聞くことがあります。

この雑誌が曲者?で、医師のインタビューや調理レシピ、養生法などに混じってアトピー・グ ッズが紹介されています。と言っても効果や安全性をその出版社が検討しているわけはなく、 販売元のセールス・トークがそのまま掲載されています。何より広告スポンサーなのですか ら、悪く書くわけはないのですが……。アトピー・ビジネスは、雑誌やネットなどのメディアで 広がっていくのです。
これらをちょっと試してみてダメだった(我が家でもありました)くらいならまだしも、アトピーを 悪化させたり、白内障を招いたり、何百万円もお金を費やす例はいくらでもあります。極端な 場合は亡くなった方もいるようです。


●読者のメールから

アトピー・ビジネスについて、読者の方からメールをいただきましたので、紹介します。まずは フジタマさんのメールから。

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(前略) まず、(株)G社のマット。¥298,000
コレは敷きマットのようなもので家庭用温熱治療器というものです。当時(7年前)全身リバ ウンドだった私を見て、母が「このマットで寝ると長波長の効果で、傷がマットにあたっても 痛くなく、言わば浮いた状態で、老人が寝たきりで寝てても床ずれにならないので病院でも 使われている。温熱効果で新陳代謝が活発になり皮膚が早く生まれ変わる。」というセール ストークで購入しましたが、全く普通のマットです。アトピー患者の使用前使用後の写真ま でありました。

次に、直接販売専門の化粧品の「E」です。¥20,000
何よりセールストークに問題があります。ステロイドの使用を止めさせ、悪化すると「毒素が でているいい傾向」と強調し、実際にコレで治ったという人から話をされたりした(写真つき) とにかく洗顔第一と言い、スクラブ入りの洗顔料で毎日洗っていたのでかなり悪化した。

そして、私が一番罪深いと思う、「アトピー性皮膚炎に克つ温泉治療」。
(株)日本O社 O.H.著 G発行
このシリーズの本を読んで無意味なリバウンドを経験してしまった人は多いと思います。私 のアトピー仲間内でも3人もいました。ひたすらステロイドを悪魔にしたてあげ、怖がらせる。 で、温泉治療で、こんなひどい状態からこんなにきれいな肌になる、と写真を使って目にダ イレクトに訴えかける。
で、「この本読む事ができてラッキーだった」とまで思うほど信じきって昨日まで塗っていた ステロイドを慌てて止めて申し込みの電話をする。そうすると返ってきた答えは「半年で150 万 かかりますが大丈夫ですか?」もう、地獄にまっさかさまでした。それでも借金覚悟でし た。
結局親に反対されて結果的には温泉治療はしていませんが、この本自体が悪質な宣伝パ ンフレットの役割をしていると思います。

「アトピービジネス」に対しては実際の症状の悪化ももちろん問題ではありますが結局金儲 けに利用されたという事で、強い憤りと、また逆に、まんまとハメられた自分や家族を情けな く思い責めたり、人を信じる事ができず全を疑い、何も信じられなくなってしまいます。ステロ イドを急に止めるという行為が主治医を裏切った行為のように思えて、ひどいリバウンド状態 にもかかわらず以前の病院に行きたくても行けなかったり・・・。(中略)

これ以上アトピービジネスを蔓延させないように、患者自身が賢くなって、いろいろ安易に手 を出さないと言う事が何より大切だと思います。特に家族。そのためにも情報提供、情報収 集は不可欠です。(後略)
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もう一通、千葉県の主婦の方からメールをいただいているのでご紹介します。

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(前略) わたしは子供の頃から肌が弱く、皮膚科の常連でした。特に夏になるとその症状 はひどく、毎日塗り薬で肌がベタベタだったのを記憶しています。でも、わたしが小学生だっ たその頃は昭和50年代だったので、アトピーなどという言葉も知らずに、母も、ただの「湿疹」 「あせも」だと思って過ごしてきたようです。
学生時代は皮膚科には通っていましたが、症状のほうは落ち着いていたようです。かゆくて 眠れない・・・とか、ステロイド漬けのような経験はあまりありませんでした。ひどくなったら、 塗る。という生活でした。サーフィンが趣味で、海で焼いたり、あまり気にせず過ごしていた のです。

アトピーの症状が急激にひどくなっていったのは、主人の転勤で、ある地方都市の社宅に 入居してからのことです。そこは、築年数が古く海の近くでもあり、常にじめじめしていまし た。1週間くらい締めきりで留守にして帰ってくると、畳がうっすらと緑色になっているのです。 最初は、わたしたちの留守の間に業者が来て、真新しい畳を交換してくれたのかな?って 思っていたら、とんでもない。カビだったのです。そんな環境でしたので、体に良いわけはな いですよね。(笑) 子供も生後8ヶ月で喘息と診断されました。

わたしの場合、一番症状がひどかったところが顔なので、よく社宅の方に「ひどいわねぇ」と 言われました。その一言だけなら、別に良いのです。気にしなければそれまでですし、性格 的にわたしは明るいほうだったし、いちいち人の言う事は気にしないタチだったので、「そう なのぉ、アトピーなのよ〜。」って軽く受け流していました。

しかし、本当にわたしを悩ませたのは、いわゆる「アトピー商法」です。同じ社宅に住み、化 粧品の販売をしてる奥さんが、毎日のようにわたしの家に訪ねてきては、ステロイドの怖さ を説明するのです。ステロイドによっての副作用例の写真など、嫌気がさすほど見せられま した。
たしかにステロイドに関しては何の知識もなく、医者の指示通りに使っていたわたしは、目 からうろこでした。「今まで騙されてきたんだ!」とまで思いました。その奥様は○○オイル という名のこれでアトピーが完治したという、150mlくらいオイルがはいった小ビンを勧めてく れました。一本¥7000するその薬(?)は10日くらいでなくなってしまい、体に塗りこむ方法と 、実際飲む方法を紹介してくれたのです。
半年くらい使い続けたと思います。肝心のアトピー症状は一向に良くならず、「なぜ、治らな いのだろう・・・」という気持ちばかり焦り、友人との付き合いも減り、子供にも当り散らすよう になってきてしまいました。良くなるはずの薬が効かない・・・。ステロイドを使おうか・・・・。 でも、使ってしまったらあの写真のように余計ひどくなる。毎日毎日悶々としたそんな日々で した。

そんな折、やはりアトピーに病んでいた主人の弟に一年振りに会ったのです。いつも象の肌 のようにガサガサだった彼の肌が普通のかんじになっていたので、思いきって聞いてみたの です。すると彼の答えは「はじめて気の合う医者と巡り合えた・・・」と言うのです。もちろんス テロイドを用いての治療法です。
わたしの顔はもう、鏡も見たくないくらいひどくなっていました。親には「ムシロのような顔」と も言われました。それだけ、ボロボロだったんです。わたしはすがる思いで、弟が通っている 皮膚科の門を叩きました。こんなひどい顔を見てきっと先生は驚くと思っていました。もしか したらさじを投げるかもしれない・・・。
先生はわたしを見るなり「もとが綺麗なんだから、大丈夫!綺麗になるよ!」そう言って笑い ました。わたしも何か一緒になって笑ってしまいました。今までのステロイドを断っていた生 活が、あほらしいものにも思えてきて。

自宅から通院するにはちょっと遠かったので、1ヶ月に一度の通院で今までのように、ステ ロイドを使った療法に戻しました。顔にも部分によって使い分ける3種類の薬を処方してくれ ました。余談ですが、その皮膚科医師は、ご自分もアトピーでかなり悩んだそうです。子供 の頃からいろいろな医師にかかったそうです。こうなったらもう自分で治すしかないと思い、 皮膚科医に志願してしまったという方なのです。

それからのわたしは、例のオイルなど捨て、その奥さんにもキッパリ断り、前向きに生きよう! と決心したのです。あとで聞いた話なのですが、そのオイルの売上の何割かは、その奥さ んの収入になっていたようなんです。あの時はかなり親身になって勧めてくれたので、やは りショックでしたね。おまけに主人の上司の妻だったので余計でした。

血液検査の結果、イエダニとハウスダストにもアレルギー反応したため、その社宅を出て、 家を新築する決心もしました。できるだけ自然素材を使い、風通しの良い心地の良い家を知 り合いの大工さんに建ててもらいました。木の部分は全て無垢材を使用し、体に有害なもの はなるべく使わずに掃除をし易いように、仕切りのない家です。そこで暮らして半年になりま すが、顔はすっかり良くなりました。

生理前やちょっと疲れた時などは赤くはれて痒くなったりもしますが、たまに顔専用の弱い ステロイドを使うだけです。少しひどいかなぁ・・・って思った時は、「大丈夫!もとが綺麗な んだから。」という、あの先生の言葉を思い出します。(笑)
もちろん毎日化粧もして、3ヵ月前から接客のパートにも出ています。エアロビクスも始めま した。毎日にこやかにお客様と話してる自分が、あの社宅時代の自分とはまったく別人のよ うな気すらします。まさに、病は気から・・・。なんでも、気の持ちようなんですね。今のわたし にはそう思えてなりません。

アトピービジネスの怖さは、体験した人間でないとわからないと思う。まさにひとの弱みに付 け込む商法と言っても過言ではないでしょう。こんな思いをしてるアトピーの方が一人でも救 われますよう、心から願ってやみません。
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人の弱みにつけこむアトピー・ビジネスの恐ろしさ、嫌らしさは体験した方でないと分からな いでしょう。リアルなメールを頂いたお二方、ありがとうございました。


●アトピー・ビジネスの背景

アトピー・ビジネスとはいかなるものか、そしてなぜこれほどはびこってしまったかについて は、「アトピー性皮膚炎 克服への近道」(竹原和彦著 小学館)に詳しく書かれています。 その概要を述べると、「アトピーは現代医学では治らない難病である」とか、「ステロイド外 用剤を使うと廃人になる」など、間違った認識を患者さんにアトピー・ビジネスが植えつけ、 商売をしているということです。この指摘は、マスコミでも取り上げられました。また不況の せいもあってか、アトピー・ビジネスはひと頃よりは沈静化したように思われます。

厄介なことにアトピー・ビジネスは確信犯的な悪徳商人ばかりでなく、「私がアトピーの人た ちを救ってみせる」と、善意でやっている人もいるようなのです。彼らは本気でアトピーを治せ ると信じているし、実際に何人かは、良くなっています。後述するプラセボ効果で良くなった のでしょうが、一人でも良くなれば、成功例だけが頭の中にインプットされます。良くならな い人は、「昔に塗ったステロイドのせい」か何かで、片づけられてしまうのです。


●プラセボ効果

「プラセボ(偽薬)効果」をご存知でしょうか。暗示にかけられたり、期待を持ったりすると、薬 学的には効果のない物(乳糖や重曹など)でも、病気が治ることがあるのです。催眠と似通 った現象なのでしょうが、プラセボ効果が生ずるのは「だまされやすい」人と言うよりは、「他 人を信頼する力のある」人と言われています。
プラセボ効果が生ずるかどうかは、薬をわたしてくれる人との信頼関係に左右されます。で すから同じ薬でも「信頼できる医者」から出された時と、「大嫌いな医者」から出された時と では、効き方が大きく変わってくるでしょう。

このプラセボ効果は馬鹿にならないもので、3割の人が病気が良くなったりするのです。「う つと不安に効果がある」という新しいSSRI(抗うつ薬)のパンフレットを見て笑ってしまった のですが、「広場恐怖」(外国に多い恐怖症の一種で、だだっ広い所が怖くなる)などは、な んと5割の人がプラセボで良くなってしまうのです。
プラセボ効果を排除するために、新薬の治験では「二重盲検法」と言う手続きが取られます。 同じ病気の患者さんの集団を二つ用意して、片方には新薬を、片方にはプラセボ(生命にか かわる場合など、倫理的に問題のある時には効果が確証されている薬)を出すのです。そし て薬を出す方の医師にも、新薬かプラセボかは分からないようにしてあります。「これは、本 当は効かないんだけどな」などと内心思ってプラセボを渡したりすると、結果に影響があるから です。

国が認めた医薬品は、効果と安全性が一定の手続きで検証されています。薬害や治験デ ータのねつ造など、全く問題がないとは言いませんが、被害をこうむった場合には救済の道 も残されています。アトピー・グッズや「民間療法」は、プラセボ効果の域を出ない物がほと んどでしょう。怪しげな民間療法にひっかかっても、「やられ損」で終わってしまうのが実態で はないでしょうか。


仕切


2.秘薬にご注意

購読していたメールマガジン、 「女医ふる・だいありー」(2001年9月18日号)に、以下の記事が 掲載されていました。発行者の許可を得ましたので、ご紹介します。

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【秘薬にご注意!】

皆さんの中にアトピー性皮膚炎に悩んでおられる方はいらっしゃいませんか? そしてその 治療のために民間療法を利用されていませんか? 先日日本皮膚科学会は、劇薬に指定 されている「ステロイド」が含まれた未認可の軟膏(なんこう)が、「ステロイドを含まない秘 薬」などとうたわれて売られ、健康被害が広がっている恐れがあるとして、患者さんや医療 機関に注意を呼び掛けました。

「ステロイド」はアトピー性皮膚炎の主要な治療薬ですが、一方で「ステロイドは恐い」という 間違った考えもまかり通っています。この為「ステロイドを含まない」と言う薬に人気が集ま るのです。ところが、この軟膏にはステロイドが含まれていないどころか、ステロイドの中で も「最強」のもの(ステロイドは強さによって五段階に分かれています)が、正規の医薬品と ほぼ同じ濃度で含まれていたのだそうです。「最強」のステロイドは重症患者でも顔や首に は使わないのが原則で、子供には通常使用しません。

この軟膏は「皮炎霜」「皮肢霜」「ATOPI CREAM」などの名称で、福岡市内の民間療法 業者から売られていましたが、インターネットでも流通しています。福岡県は業者に自主回 収を指導しましたが、類似品も多く全ての軟膏を回収するには時間がかかるとのこと。ア トピー性皮膚炎に苦しむ患者さんをターゲットにした「アトピービジネス」の被害は後を絶た ないようです。
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仕切


3.アトピー・ビジネス情報

2001年10月27日付の毎日新聞に、以下の記事がありました。「ステロイ ドは怖い」と恐怖心をあおり、「入っていないから安心」と売りつ けていたとしたら、本当に腹立たしいことです。商品名が公表され たのはまず良いとして、法的な制裁が加えられることはないのでし ょうか。

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「ステロイド含まず」と虚偽宣伝  アトピー薬3種確認

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療問題委員会(委員長・竹 原和彦金沢大教授)は26日、インターネットなどで販売されている アトピー性皮膚炎治療薬で、「ステロイドホルモンは含まない」と 広告されているが、実際には含んでいる薬を、新たに3種類確認し たと発表した。知らずに使い続けると副作用の心配もあり、竹原教 授は「数ヶ月以上、顔に塗っていた人は、総合病院の皮膚科などに 相談して、使用を中止するのが望ましい」と呼びかけている。

問題の薬は中国と国内の10業者が販売する「皮炎平」、東京と大 阪で販売されている「内宮養顔霜」、札幌市内でチラシ広告で宣伝 された「皮痒膏」の3種類。いずれも国の承認を受けておらず、販 売や広告は規制されるが、個人の責任で使う場合は規制がない。

学会が製薬会社の協力を得て分析した結果、3種類はいずれも、 強さが5種類あるステロイドホルモンのうち弱い方から2番目のも のを含んでいた。このステロイドは通常のアトピー治療に使われる が、顔に数ヶ月以上続けて塗ると、皮膚が薄くなり赤ら顔になった り薬をやめた時に顔がはれる心配があるという。

学会はアトピー治療についてファックス(076-234-4274)か電子 メール(atopic@med.kanazawa-u.ac.jp)で相談を受け付けている。
(高木昭牛)
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